29日に大阪で開催された、オックスフォード大学出版局主催のワークショップに参加しました。当日のスライドは一部を除き、写真撮影およびSNS投稿はOKでしたので、シェアしたいと思います。
ワークショップは、中学・高校生向けの教師・講師向けの内容でしたので、その年齢の子供たちをターゲットとした取り組み内容にフォーカスしていていました。ターゲットが明確な分、とっても具体的で、もちろん他の年齢層でも通用するアプローチも沢山あり、非常に充実した内容でした。
最初のプレゼンターは、ORTを用いた多読授業を長年取り組まれている諸木宏子先生です。
最初の出だしで、「生徒を連れてきて、本を用意して、『さあ、読んで』と促しても決して読みません!」とキッパリ。
そうですよね~・・・私も次男で失敗してますのでよく分かる。ORTは英国の小学校の8~9割で取り入れられいるリーダーで、「国語」として利用されているから、背景的な文化や時制について説明なしに出てくるため、外国人にとって、するすると読んだだけでは、なんのこっちゃ?となる。諸木先生は、特に要注意!の本をリストアップして、アプローチ方法を余すことなくお話していただきました。
マジックキーの本に入る前に、まず絶対読まなければいけない要注意本↓
指導している生徒には、必ずこの順番で読ませているそうです。
生徒から教えてもらった、発見も沢山あるとのこと
これも生徒が気づいた。違う本に出てくるけど、実は同じ車や!
これも生徒から教えてもらった、現在に存在するノアの箱舟
2番目のプレゼンターは、進学校で指導されている田中十督先生、西山哲郎先生のお二人がおもしろおかしく掛け合いながら説明いただきました。
スライドの画像は、残念ながら自分自身のアレルギー症状が徐々に悪化してきて朦朧となっており撮影出来ませんでしたが、こちらは、ORTに焦点を絞らず、いかに多読を中心としながら、「読む」「書く」「話す」「聴く」の技能を身に付けていくかの試行錯誤の取り組みを紹介いただきました。また、サンプル本を配ってもらって隣同士で読み聴かせをしたり、その感想を言い合ったり、聴講者と共に実践するプログラムになっていました。
印象深いところは、「聴く」力の向上について、「たっぷり・ゆっくり・しっかり・聴く」が大事で、ORTの多読では必ずCDもつけて聴き読みした方が良いとおっしゃっていた点です。ディベートの力を養うため、まずグループで本の感想を言い合ったり、Netflixや無料で視聴できるコンテンツから興味のありそうなトピックを授業で取り上げ、ディベートの時間を作ったり、先生間で交流のある他府県の学校同士で、オンラインシステムを使ってディベートしたり・・という取り組みの紹介がありました。
最後の質疑で、多読をいかに「評価」に取り入れるか?という質問に対し、3名のプレゼンターの方々が日本の評価制度とこの多読の取り組みをどのように評価に取り入れるか悩んでいらっしゃったり、熱い思いを抱えていらっしゃることがよく分かりました。
諸木先生が、「もし自分が生徒の立場にたって考えたら、指導者から「君の読み方はおかしいよ?」とか、「こんな感想でいいの?」など指導されたらいやじゃないですか?。読書のやり方は人それぞれでいいんです。」
また、西山先生が「多読の方法をとやかく指導されている内に、生徒が「本を読む」ことが嫌いになってしまうことを恐れています」
とおっしゃっていたのが印象深いです。
この点は、完全に同意です私は夏の読書感想文の「課題図書」のように読むべき本を押し付けられるのも嫌いでした。読みたい本を読めばいいし、その本からどこに感銘を受けるかは、個人個人異なっていていいと思います。
ただし、「英語の多読」は、ほっといたら誰も(特に子供は)興味を示さないと思いますので、そこに導くアプローチは本当に重要です。そのアプローチについて、このワークショップで沢山の気づきをいただきました。当日あまり体調が良くなく、特に後半は撮影する元気もなくなってしまいましたが、行って良かった!